主間契約と「実質的所有者」制度 ベトナム企業に与える本当の影響
ベトナムでは、株主間契約(株主協定/合弁契約/メンバーシップ契約)が、企業設立前から広く活用されてきました。法令上の明確な定義は存在しないにもかかわらず、スタートアップから外資系大企業まで、出資やM&Aの場面でほぼ必ず登場します。
01 - 株主間契約の法的地位:会社を当然に拘束するのか?
株主間契約はベトナム企業法に明記された「公式な法律文書」ではありません。行政手続きにおいて提出・公開の義務もなく、定款や企業法と矛盾する条項は裁判所で無効と判断されるリスクさえあります。会社を拘束したい場合には、取締役会や経営陣への指示として落とし込む、定款へ反映するといったガバナンス上の手続を必ず設計する必要があります。
02 - 実質的所有者(Beneficial Owner)制度がもたらす新しい転換点
2025年以降、「実質的所有者」の把握制度が導入され、財務省の内部資料では「企業支配は、持株比率だけでなく、株主間契約などの私的合意からも生じ得る」と指摘されています。株主間契約は「企業を実際に支配している人物」を判断する重要資料と位置付けられました。
03 - 法的リスク:公開しない「内部契約」が問題になる時代へ
株主間契約によってある個人が会社を事実上コントロールしているにもかかわらず企業がその情報を申告しなければ、不正確な情報提供とみなされ行政リスクや制裁の対象となる可能性があります。
企業への実務的提言:株主間契約と定款に矛盾がないか精査する、会社を拘束したい条項は必ずガバナンスに落とし込む、実質的所有者制度との整合性を事前にチェックする、出資・M&Aの初期段階で法務デューデリジェンスを行う。