Case Study NO.8|ベトナムにおける広告サービス展開スキームの法的検討と最適モデルの提案
弁護士法人NEXORA(NEXORA LAWFIRM)は、ベトナムにおける広告事業・マーケティングサービスの提供に関するライセンス、契約形態、業種規制などに詳しく、日系企業向けに最適な進出モデルの検討・設計を支援しています。本ケーススタディでは、現地における広告サービス展開をめぐる法的論点と、外資企業にとって現実的な運用モデルを実例ベースで検討します。 本記事では、「ベトナム 広告サービス 外資規制」「広告業のライセンス取得」「広告代理店との契約形態」「SaaSモデルと法的整理」「広告配信業務 ベトナム法」などのキーワードに関心のある方向けに、サービス内容ごとのライセンス可否と適法な事業スキームの選定ポイントをわかりやすく解説しています。
01 - 事案の概要
XXX社は、ベトナム現地法人YYY(XXXの子会社、外資100%企業)を通じて、広告サービス(主にデジタル広告)事業をベトナム国内で展開することを検討しており、その法的な進出スキームについて5つの案が社内で検討されております。
いずれのモデルも、ベトナムのWTOコミットメントにおける広告業に対する外資制限(※外国企業は、広告ライセンスを持つベトナム法人との合弁またはBCC形式による進出が原則)を前提として、YYY社がどのような形で広告事業に関与できるかのご相談です。
02 - 弁護士による法的助言とモデルごとの評価
▶ オプション①:BCC契約
▶ Option 1:YYY社とベトナム広告ライセンス企業とのBCC契約(事業協力契約)
評価:△(リスク中程度)
BCC方式は理論上可能ですが、手続が複雑で時間を要し、広告事業に関する実務が全て相手方(ベトナム広告ライセンス企業、以下、「Company A」と言います)名義での実施が必要となるため、コントロール権に課題があります。
YYY社が間接的に資金・ノウハウ提供を行いながら、事業主導権を持てない構造のため、リスクマネジメントや権利保護の点からは不適切です。
✅推奨度:低(原則として非推奨)
▶ オプション②:業務委託契約
▶ Option 2:YYY社が資金・ノウハウを提供し、Company Aが単独で広告業務を実施
評価:✕(リスク高)
YYY社とCompany Aの間には一般の業務委託の契約関係しか存在せず、YYY社は広告業務の直接管理ができない。出資や商標使用、技術支援に関する契約は締結できるが、出資回収や利益配分が保証されない。
外形的には脱法スキームと評価されるリスクもある。
✅推奨度:非常に低(法的・実務的に不安定)
▶ オプション③:合弁
▶ Option 3:YYY社とベトナム広告業ライセンス法人による合弁会社(JV)の設立
評価:◎(最も適切)
YYY社がCompany Aと共同出資し、透明なガバナンス体制をもつ合弁会社(JV)を設立。事業実施主体をこの新会社とする。
WTOの要件を満たし、管理・利益配分・契約の透明性が確保される。
✅推奨度:最も高い(法的に安定)
▶ オプション④:ノミニー投資
▶ Option 4:名義会社スキーム(ノミニー方式)
XXX社が名義上のCompany Bを設立し、YYY社が資金提供・商標貸与・人材派遣契約等を結ぶ。
Company Bを設立した後、YYY社がCompany Aの99%を取得。
スピード優先型モデルとしては現実的だが、最終的には合弁会社として整理する必要あり。
✅推奨度:中〜高(段階的に合弁移行する前提であれば有効)
▶ オプション⑤:M&A
▶ Option 5:Company AがXXXの1%持分を取得 (M&A)→ YYY社が広告業追加申請
YYY社が形式的に「合弁会社」となることで、広告事業の資格を満たす独自スキーム。
WTOコミットメント上の実質な合として認めるかどうか、当局機関の判断に依存する。
✅推奨度:中(革新的だがリスクあり)
◆結論と今後の対応指針◆
現在の法制度および実務運用に照らすと、XXX社(YYY社)が広告サービス事業を安全かつ効果的に展開するためには、以下の戦略を推奨いたします:
フェーズ
推奨行動
短期(早期事業開始)
Option 4のノミニースキームを活用し、迅速に広告事業を開始
中長期(安定運用)
Option 3の正式合弁会社スキームに移行し、ライセンス取得+事業拡張
補足対応
商標登録、ライセンス準備、契約雛形の整備